マスターシステムのS-Video化、その他 ~ SEGAハード改造記(3)

マスターシステムのS-Video化、その他 ~ SEGAハード改造記(3)






初めに

前回の記事ではメガアダプタにFM音源を搭載させましたが、
あれは通しでやっていた訳ではなく途中でフラフラと別の事をやってました。
A/Vコネクタが不調だったマスターシステムの改造です。
それと、メガアダプタ+FM音源完成後にやった、SG-1000IIのAV化。
そして、メガドライブ純正コントローラにプレイTVのコントローラのガワを移植。
このポストはその三つの改造について記述します。

少し記事が長いので、簡易ジャンプを作りました。



いつもの途中脱線

メガアダプタ+FM音源の作成中に、やたらと気になり始めたマスターシステム。
中古で仕入れた段階で既にA/Vコネクタが不調です。
なにせ、ずっとコネクタを上の方に持上げてないと映りません。
文庫本をコネクタの下に敷くという手法で解決出来ますが、
余り良い方法とは言えないでしょう。

コネクタが不調なだけで動作は特に問題は無さそうですので、
「分解して修理とか出来たら良いなー」と考え始めます。
繋ぎ途中のFM音源が載ったメガアダプタを脇に追いやり、徐にマスターシステムを開きます。



基板に付いたままでは不具合解消はムリなので、DIN8-Uのメスを外します。




ひたすらハンダを吸い上げ、なんとかパターンを壊さずに外す事に成功しました。
以前なら途中で基板のパターンが剥がれてしまって泣いていたと思いますが、
電子工作に割と慣れてきたんでしょうかね?





次は外したDIN8-Uを分解します。
きっと錆か緑青、ピンが開き過ぎ等の接触不良が有るハズですので、
それを除去/清掃/曲げ直しすればミッション完了です。





多分コレかな?と思う所を清掃し、ピンも何となく締め気味に軽く曲げ直しました。
DIN8-Uを組み直してマスターシステムの基板に差し込んだ時に、
こんな楊子平さんのツイートをふと思い出しました。
とびだせ!S端子ケーブルの時に楊子平さん御本人に紹介して頂いた、過去のツイートです。


「むむむ?今は基板のRGBやC-SYNC、C-VIDEO、VCC、GNDが取り放題だ!」
DIN8-Uのハンダ上げを中止し、購入済みのパーツを引っ張り出してきます。

元々はメガドライブ1用の「とびだせ!S端子ケーブル」と似たような、
S端子+Audioケーブルを作る予定でパーツを揃えましたが、
前回の記事のような顛末でお蔵入りしてた企画です。
既にブランク祭りになってるA/Vコネクタ用のパターンに直接パーツを取り付けて、
ケーブルを外部に直接出してしまおうと考えます。
なるべく無改造風を装いたい派なんですが、何故かコレは迷わずに決めました。

今回の回路は抵抗7個・コンデンサ1個・トランジスタ1個と
とびだせ!S端子ケーブルよりも部品点数が多いですが、
前回の反省も有って抵抗は小さいタイプを購入しました。
その上、コネクターカバー内ではなく基板に直接載せるので、スペース的にも非常に楽です。
しかし結局はDIN8のコネクタの範囲内にパーツが入るので、やはり狭いです。
基板のパターンに直接パーツを組み込むのではなく、
ケーブルで取り出してからパーツをハンダ上げしようかとも思いました。
グダグダ考えてるうちに手が勝手にC-SYNCに47Ωを突っ込んでたので、
「このままやってみよう。駄目ならケーブル出しにしよう。」
ということにしました。

進めてみると、思った以上に楽でした。
接触を避ける為の大回り/迂回が簡単に出来るし、
前回の反省から購入した絶縁用の熱圧縮チューブも効果的でした。

そんなこんなで出来上がったのがコチラ。

流石に部品面はゴチャゴチャだ!

半田面はスッキリ!



マーク3/マスターシステムはモノラル出力ですが、
片側だけじゃ困るのでLR両方ともAudioの所に入れてます。

ケーブル直出しなので本来はケーブルを出す為の開口の加工が必要ですが、
今回はDIN8-Uを撤去しているので、そこから出します。
一応引っ張り防止的に中で縛ったりしてます。





以上で完成です。
比較画像がコチラ。

マスターシステムと言えばスペハリですね


あれ? アフターバーナーだと違いが余り…

アレスタだと違いが良く分かります。


目がチカチカします



かなりクッキリ画像になりました。
元の絵のコントラストによっては効果が分かり辛いですが
やはり小さい文字等をみるとハッキリ違いますね。

次は動画です。




DIN8-Uコネクタを外すのは少し難しいですが、
今回の様にケーブルを出すだけの改造ならその必要は有りませんので
割と簡単に出来ると思います。
パーツも安価で、今の時代は早く簡単に買えます。
「RGB出力までは要らないけど、画質は上げたいなぁ」なんて方にオススメです。

そして再びメガアダプタ+FM音源の作成に戻り…



SG-1000IIのAV化改造

この記事だけだと時系列が分かり辛いですが、メガアダプタ+FM音源が完成しました。
そうなるとマーク3/マスターシステムの存在が微妙になって来ます。
唯一の価値は全機種ソフトが動く事ですが、例のパレットの違いによって発色に問題が有ります。

元来SG-1000IIはRF出力のみという、要するに初期型ファミコンと同じ仕様です。
RCAピンプラグやS端子、D端子も無くなりつつある現代では、
なかなか実行環境が無いでしょう。

しかしRCA端子かS端子であればウチでは使用可能です。
やるしか無いですね。




SG-1000IIには前期型と後期型が有ります。
前期型はビデオチップのTMS9918とサウンドチップのSN76489が個別に載っています。
後期型は315-5066というTMS9918とSN76489の両方の機能を持った統合型のカスタムチップが載っています。

一般にはRGB化改造が可能な後期型が人気が有り、前期型は不人気です。
見分け方としては、底面のビス穴・・・ではなくゴム足の数です。
ゴム足5つが前期型、ゴム足4つが後期型です。

ちなみに下に掲載した写真の個体とは違い、前期型でもビス穴は後期型といった製品も有ります。
僕の知る限りでは最低三種類は有るという事になり、
実際は多くのリビジョンが有ると想定出来ます。

しかし重要なのは統合型カスタムチップ搭載か否かですので、
ゴム足判別で問題無いでしょう。

手前が前期型、奥が後期型



ネット上でSG-1000IIの情報を探すと、後期型のRGB化の記事が多いです。
そういった意味で人気・不人気と前述しました。
僕は不人気キャラに肩入れしてしまうタイプですので、
ここは一つ、前期型の改造方法を世界に・後世に残さねば!と一念発起します。

参考にしたサイトはスーパーストリートファイターやヴァンパイアの
開発に携わったGYOさんの運営するSEGA OLD MACHINE MUSEUM
かなり凄いセガ人のサイトですね。

「ハードギャラリー」「SG-1000II」「本体」「ビデオ・音声出力端子追加」と辿っていくとTMS9918とSN76489の必要な情報が得られます。
他にもマーク3でメガドラパッドを使用可能にする改造や、
マスターシステムの項ではリセットスイッチの増設、
RGB21のケーブル自作方法まで紹介されていて、非常に興味深いサイトです。




まずはバラします。
ビスは6本、長さの長短も有るので注意して下さい。
メガドライブと同様に電源ランプにケーブルが配線されていますので、
そっと手前側に開きます。
その時にコネクタの極性を確認/記憶しておいて下さい。
でないと組み上げる際に困りますからね。

基板を底面側のガワから外すには、更にカートリッジコネクタのビスを外します。
合計で8本、長さは3種ですね。




ターゲットは二つ。
一つ目は基板左側のTMS9918Aです。
このICの36番ピンがVideo信号、12番ピンがGND。
そこに配線/結線しますが、ICの足に直接ハンダ上げするのは怖いですね。
ですので基板上のパターンを追って行って、比較的安全な所を探します。
この基板の場合は、
Videoは「Y」「36」の刻印の間のブランクに
GNDは「10」の下の「G2」の刻印のブランクに
それぞれ入れてハンダ上げします。




もう一つは、基板右下のSN76489です。
こちらも比較的安全そうな箇所を探します。
この基板の場合は
写真には映ってませんが、Audioはもう少し左のジャンパーの所に共挟み、
GNDは「C11」の刻印のブランクの上側
が良さそうです。




部品面から挿して、半田面でハンダ上げします。
まずはTMS9918の方です。

配線がカッコ悪いですね…

半田面は自然な仕上がり過ぎてドレだか分からないッス!



次はSN76489の方です。
Audioはモノラルなので、LRを両方挿してます。


画像に赤丸でも入れ無いと、ドコだか分かりません




そんなこんなでアッサリ出来たAV化改造。
組み上げる前に動作確認をしてみます。





問題なさそうですね。
ちなみに、動作確認の為にカートリッジをコネクタに挿す前に、
コネクタのビスを締めて下さい。
でないと…抜く時に恐ろしい思いをしますよ!

次はケーブルを外部に出します。
マスターシステムの時と違って何も撤去していないので、開口が有りません。
加工しても良いんですが、LOW-HIスイッチを撤去します。

今後の人生で余程の事情が無い限りRF出力は使わないですし、
もしRFを使うとしてもLOW-HIスイッチは使わないでしょう。
ですので、ハンダを吸っちゃいます。




LOW-HIスイッチ跡地からケーブルを出して組み上げた姿です。
廃材…というか不要材というか、余ったケーブルを使ったので微妙に短いです…。




動作確認をしてみます。
昔から縦シューは苦手なんですが、バルガスとスタージャッカーは好きです。





バッチリですね。
全機種ソフトの無骨なパッケージがカッコ良いですね。
SG-1000IIは、どのSEGAハードよりも洗練されていてカッコ良いと思います。
コントローラー端子が背面に有るのもデザイン面でプラスかも知れません。
利便性は微妙ですが…

以上で完成しました。
RCA端子によるVideo/Audio出力をI/O-DATAのGV-USB2という
USB接続のキャプチャー機器を使ってパソコンに映してます。
今までS-Video出力改造を行ってきたので、C-Video出力では満足出来ないかなと思いながらやってました。
しかし実際に映像を見ると、思いのほかしっくり来ました。
恐らく思い出補正等の色々な要因で、全機種ソフトは多少粗いというか滲んだ絵の方が
「雰囲気が出て、良く感じる」のかも知れません。



メガドライブパッドのドレスアップ


メガドライブ関連商品で、メガドライブ プレイTVという物が有ります。
日本ではセガトイズから発売されていた物で、開発はアメリカの会社です。
ライセンス契約した正式なin1ハードといった感じの物です。




僕の所持しているのは「プレイTV 1」です。
上の画像は実際に動かした所をキャプチャーしたものです。
中身は海外版タイトルのままですね。

ACアダプターは何故か6Vという、他のSEGA系やゲーム系のアダプターが一切使えない仕様です。
その代わり(?)単三電池四本での使用も可能。

内蔵タイトルもフリッキー以外は興味も無いです。
じゃぁ何故持ってるんだって?
このハード、コントローラーがカッコ良いんです!

16BIT POWER!



本体に電源スイッチしか無い関係で、コントローラー側にリセットボタンがありますね。
……何故そんな仕様に…。

と言う訳で、ガワだけ交換したいと思います。
まずは分解して良く観察してみます。





十字キー側の突起が違いますね。
純正の基板を使用したいので、突起をカットします。





もう後戻りは出来ません。
他の穴の位置は合ってますが、径が違います。
約5mmで加工するとホボ合いますが、実際は入らなかったので後に6mmまで拡げました。




ボタン側のゴムはプレイTVのコントローラーでは基板に固定されていますので、
純正の基板では形状の都合で使用出来ません。
ですので純正のゴムを乗せて、そっと基板を乗せます。
使ってるうちにズレそうです・・・。




ここで組み上げてテストしてみたところ、
なんと十字キーが四方向のみ!
斜め入力が出来ない!!
テストしたタイトルがランドストーカーだったので余計に酷い事になりました。
十字キーの形状が全く違うのでダメなのかなと。
基板との距離を縮める為に、先程詰めた突起を思い切ってフラットにします。




ゴムも純正の方に交換します。
突起を切り落としズレ防止が無くなってしまったので、
手元に合ったビスナットで固定します。
こんな事になってるパッドの基板は中々見られません。
非常にシュールな絵です。




組み上げて再びテストしたところ、バッチリでした。
ただ、ボタン側のゴムがズレる可能性が高いです。
接着剤とか使っちゃおうかと画策していますが、
とりあえず不具合が出たら対処と言う事で先送りしておきます。

非常にカッコ良いです!



良く調べもせずに不可逆な改造を施してしまいましたが、
ひょっとしてこのデザインのパッドが売られていたり…?
……いや、調べるのはヤメておきます。



終わりに

今回の記事は二つの改造プラスαという構成でした。
前回の記事のメガアダプタ+FM音源を使えば、メガドライブでマーク3以降のタイトルがFM/PSGで遊べます。
全機種ソフトはSG-1000IIで、綺麗な発色で遊べます。
記事の中に書いてある通り、実際はマスターシステムの改造は不要かもしれません。
しかしマスターシステムにはラピッドファイアや3Dアダプタ等の別の利点も有りますし、
切り捨てて良いわけでは有りません。
個々のハードの特色を良く活かしたゲームライフを送りたいですね。
となると無改造プレーンなマーク3も、そろそろ何らかの改造を施すべきでしょうか…。

電子工作の沼にハマりつつあるようです。







御質問・御意見・御感想は@m_o_p_u までお気軽にどうぞ







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